教員採用試験に地域の視点…教師の採用に保護者や住民も加わる試みが、学校と地域の距離を縮める。(埼玉県志木市

教師の採用に保護者や住民も加わる試みが、学校と地域の距離を縮める。

〈長さ「4分の3メートル」で重さ「5分の2キロ」のホースがある。それではこのホース1メートルの重さは何キロ?〉

埼玉県志木市立志木小で、2月6日に行われた授業を見つめていたのは、子供ではなく、保護者や地域の人たち。複数の小学校の校長の姿もあった。

志木市が市の予算で独自に採用する小学校教員の2次試験の模擬授業。音楽など専科教員以外の今年の課題は、6年生の算数だ。

独自採用の教師の任期は1年間で、採用枠も10人程度だが、例年約250人の志願者を数える。

授業を披露していた受験者は、中学校教師を目指したが採用試験に失敗。通信制の講座で小学校の免許を取得して、教職を目指しているという。

どの受験者を採用するかは各校の校長が最終的に決めるが、模擬授業を見つめる地域の人たちも、ABCの3段階で授業の出来栄えを採点する。採点結果は、校長が判断を下す際の参考資料になり、市教委や校長が認めれば、この授業評価にはだれでも参加することが出来る

そして、地域の声をくみ取った校長の決定を、市教委が追認するというのが採用までの流れだ。

小中学校の教師の人事権を持つのは、制度的には都道府県と政令市。それだけに、小学校長の一人は「学校と地域が採用にかかわる意味は大きい」と語った。

志木市が独自の小学校教員採用を始めたのは2002年度から。「1学級25人程度」の少人数学級を低学年に導入したのが、きっかけになった。

少人数学級の実現には教師の増員が大前提になる。だが、「1学級40人」という国の基準を超えて配置する場合、教員給与は、原則、市の負担だ。採用試験に地域の視点を取り入れたのは「市の税金を使うので」という理由だったが、学校と教師に対する市民の関心を一気に高めた。

模擬授業の会場で小学生の母親(39)は「自分たちが選んだ先生に対しては親しみがわき、励ましたくなります。学校運営にこれまで以上に関心を抱くようになる」と採点に参加した理由を語った

自分たちが選んだ教師の授業が気に掛かり、学校に足を運ぶようになったという保護者も少なくない。

その一方で、地域に選ばれたという意識が、教師に自覚を促すという。

今年3月まで志木市立宗岡第二小で教えていた石井有希さん(26)は、3度目の挑戦で東京都の採用試験に合格。4月から世田谷区の小学校に勤務し始めた。そして、「いきなり正式採用となったのとは大違い。休日返上で頑張る先生たち、そして地域の方と知り合うことが出来たのが大きかった。経験を生かしたい」と思いを語る。

志木市の小学校は8日が始業式。今年も地域の目で選ばれた11人が授業に臨む。(山田 博文)

23市町村で独自採用

文部科学省によると、埼玉県志木市のように市の予算で独自に教師を採用する試みは、2005年4月現在、23市町村で実施されている。「構造改革特区」の「市町村負担教職員任用の容認」という特例措置がその根拠になっている。

文科省は、05年度中に市町村立学校職員給与負担法の改正を行い、06年度からは、教育特区に認定されなくても独自採用を認める方針を示している

(2005年4月8日  読売新聞)

30人以上を前に模擬授業が行われた市費採用教員の2次試験(志木小学校で)
YOUMIURI ONLINEより
こんなことを、熊本でもやりたい!なんで誰も言わないの?と思うんです。(>_<)

この、志木市の改革に続き、同じ埼玉県の
行田市では保護者が選ぶ…というだけではなく…
何と!
子どもたちも、採用試験の採点をするんです。