義務教育6年・3年制→4年・3年・2年制へ…(富合町)
◇教師相互乗り入れ、より細かい指導

富合町の「小中一貫教育特区」が、政府の構造改革特区に認定された。「6・3」制の小・中学校9年間を、発達段階に応じて「4・3・2」の3段階に改め、小中学校の教師が互いに乗り入れて教育を行うという。「小学校で中学校の教科書が使われることもある」という富合町の挑戦。「教育の魅力を人口増に結びつける」と胸を張る制度改革の一端をのぞいた。【石川淳一】
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■機運
富合町は小学校と中学校が町内に1校ずつしかなく、全児童が同じ中学校に進む。互いの距離も車で5分と近く、先生同士が学校間を行き来し、授業見学や話し合いを持つことが多かったという。今年度からは、中学校の音楽教師が小学校で教えるなどの乗り入れも始まったという。
「もともと連携はあったが、中学校に上がると同時に授業についていけなくなる子供が多い。よりきめ細かく指導ができるよう連携を強めたい」(富合中の木村勝美校長)との願いが特区構想につながった。

■指導形態
小学5年から、中学と同じ教科担任制が取られる。同時に習熟度別のクラス分けも取り入れ、子供の進度に合わせた授業を行う。
中学校の先生が小学校に出向いて授業を行うことも増えるという。そのため両校は現在、年間の指導計画づくりに追われている。

■英語教育
富合小・中が一貫教育の柱に据えるのが、英語教育などの「国際科」の授業だ。小学1年から英語に親しみ、中学卒業時には全生徒が英検2、3級の資格を取得することを目標にしている。
小学1〜4年は週1時間程度、「英語活動」として、基本的な英会話やゲームを通して英語に触れる。小学5年からは中学1年の英語教材を使い、「小学校卒業時には、中学1年の教科書を学び終えるレベルに達する」という。

■将来像
教育目標は「21世紀の国際社会に貢献できる、知性に満ちた個性ある子供の育成」。国語や数学の授業も中学3年の2学期までに教科書の内容を終える予定だ。余った時間に行うのが「論理、表現力を身に着ける」発展学習。生徒が自分で課題を見つけ、じっくり研究に取り組む授業を行う。
完全実施までにあと5年は掛かる見込みだが、木村校長は「日本人に足りないのは表現力と創造力。国際社会に羽ばたける人材を育てたい」と理想を大きく掲げる。
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◇能力引き出す各地の取り組み

構造改革特区で認定された小中一貫教育は富合町のほか、奈良県御所市、東京都品川区の例がある。いずれも「4・3・2」制を軸とするが、中身は地域の特徴に応じている。内閣府の特区推進室は「小、中学校をつなげることで、小学校から中学校へ子供の学習もスムーズに移行できる」と評価する。

◇地域性−−奈良県御所市

御所市は、昔から地域に製薬業が盛んな点を強調し、理系に強い子供を育てる計画だ。07年には「科学好きの子供」を7割に伸ばす構想。総合学習を改編し、小学1年から体験学習を取り入れた「しぜん」の授業を行う。市教委学校教育課は「今は子供の理数離れが顕著。自然へ興味、関心を持ってもらい、将来の日本に役立つ子供を」と意気込む。

◇心の教育−−東京都品川区

学校選択制を取り入れている品川区は一部に小中一貫を導入し「6・3」と「4・3・2」を選択できるようにする。「学力だけでなく心の教育も必要」として「市民科」を導入。生き方や職業観、社会規範を学ぶ。区教委は「エリート教育を目指すわけではないが、一貫校の授業時間は基準を上回る。主要科目だけでなく個性・能力を多様に引き出したい」と話す。
2003年9月5日(毎日新聞)Yahoo!ニュースより
熊本でも素晴らしいチャレンジが起きています。富合町は今、熊本市と「もしかしたら」合併するかもしれない状況にありますが、もし、合併したら、熊本市内の「校区単位」で実現するかもしれないですね。