わたしの志した理由の一つである学校への「よのなか科」導入−先進地杉並区立和田中学校−やっぱり民間出身校長が
「よのなか」科 授業普及へ

長自身によるユニーク授業が、普及に向けて動き出した。

教室内を歩き回り、生徒が発言すると「はい、拍手」「いい線行っているね」と藤原和博校長(50)が盛り上げる。自身が手がける東京都杉並区立和田中学校の「よのなか」科の授業だ。

先月19日の初回は、おなじみのテーマ「1個のハンバーガーから世界が見える」。ハンバーガー店の店長になったつもりで、どこに出店すれば売れるか、みんなで考えるのが課題だった。駅の利用者数が話題になると、自分の携帯電話を手渡し、学校近くの駅に取材させた。

テンポの良さが藤原流。退屈そうな生徒はいない。生徒たちはこれから「原価構造」や「貿易と為替の動き」も学んでいく。「生徒に日々のニュースが気になるようにさせる」のが神髄だ。近い将来、こんな授業が全国で見られるようになるかも知れない。

藤原さんは教育関係者を対象に今夏から、「よのなか」科のカリキュラムや授業技術を伝授する研修を始める。東京、大阪で計3回、各2泊3日の日程で定員は計150人。受講者が各地で授業を普及させる核になってもらう構想だ。

「よのなか」科の授業は、藤原さんがリクルート社に勤務していた1998年、中学の公民教科書が現実社会とかけ離れた描き方をしていることを訴えるため、「人生の教科書『よのなか』」を出版したのがきっかけだった。

杉並区在住で、山田宏・杉並区長が旧知の存在だったこともあり、その後、助言者として教育委員会入り。1年後に校長になった。今年が4年目だが、新しい授業にはリクルート社時代からかかわってきた。

現在は和田中勤務の杉浦元一教諭(33)は、前任校の東京都足立区立十一中学校時代から、藤原さんの協力を得て授業に取り組んできた相棒のような存在だ。その杉浦さんいわく、「当時、全国から視察にきた教師の中には、『豊富な人脈のある藤原さんだからできること。とてもまねできない』と言って帰った人も少なくなかった」。

でも、杉浦さんはそうは思わない。「商店街の店主や工場の経営者など、地元の身近な人を呼んでも十分に展開できる」

新しい授業は、これまでに保護者や地域住民も含めて約3000人が見学した。その中には「自分もやってみたい」という教師も少なくない。研修はその期待にこたえるものだ。一方、教師が導入したくても校長が難色を示したり、校長が積極的でも教師の協力が得られなかったりといった学校もある。

大学生が生徒の勉強の面倒を見る「土曜日寺子屋(通称ドテラ)」や、住民・保護者らのボランティア組織「地域本部」の創設など、矢継ぎ早に改革を進めてきた藤原さんが、「教育現場は確かに保守的だが、やる気があればできる。研修をその起爆剤にしたい」と力を込める。その自信は、これまでの実績に裏打ちされている。(木田滋夫)

「よのなか」科 「世の中のすべてが教材」という考え方のもとに、生徒に身近なものから経済や地方自治、法律などの「世の中」を考える授業。生徒が店長や検察官などの役割を演じたり、講師を招いて一緒に考えたりする。和田中ではこれまでに、時計の夜光塗料で世界的なシェアを持つ地元企業の社長、杉並区長、弁護士、工務店社長らが講師を務めた。

(2006年5月9日  読売新聞)

藤原校長の「よのなか」科の授業はテンポの良さが身上だ


多くは語りません。
熊本で実現したい…
やっぱり、民間出身者が学校のトップに入らないと出来ないのか…